誤解が生まれているグリップロックナットについて。
今年発売開始後、様々な分野に使って頂いておりますグリップロックナット。
TAB6400及び特殊金属鋼で廻り止め機構付きのナットが
造れるというところが好評をいただいております。
開発にあたった経緯はスプロケットナットにTAB6400を使用したいというユーザー様からの声で多かったという事が最大の要因だったのですが、個人的見解から言えばスプロケットを締結するということに関してベータチタニウムで販売しているTIFNに代表される普通のフランジナットでは走行中や整備において特に不具合というものは上がってきませんでした。
しかし、純正で付いているナットが殆どセルフロックになっているという現実からユーザー様の普通のナットで残る不安感というものが出てくるのも仕方がないとは考えていたんですね。
そんなこんなで色々と紆余曲折と試行錯誤を繰り返しOリングプレッシャー工法でのグリップロックナットとして製品化をしました。
その際、サイズが当初M10がメインだった事もあり、やはり『スプロケット用』というイメージが定着しているのが現状です。
その状況自体は別に悪い事ではなく、むしろ当初の狙い通りだったのですが・・・
狙いが付きすぎたというか色んなところで
「やっぱり普通のナットだったら緩みますもんね」
と、
言われてしまう事が増えてきたんです。
ここであえて言いたいのは。
通常のフランジナットでもキチンと整備していれば緩みや脱落は大丈夫なんです。
もうひとつ言えばロック機構の付いたナットもキチンと整備していなければ緩むし脱落します。
全てのセルフロックナットに言えるのはあくまでも『補助』だという事です。
私の中で絶対に外れないナットっていうのはハードロック工業さんの持っている技術『ハードロックナット』くらいだと思っています。(工業にかかわるものとして絶対って言葉は使いたくないんですけどね)物理的に外れるハズが無いという事は絶対に外れないという事とは違います。
ボルトナットというものは溶接や嵌め合いとは違い『付けて、外す』という事を前提としています。
絶対に外れない、絶対に折れない、絶対に曲がらないという事はありえないんです。
しかし、自社で作っているものは少しでも脱落や緩みが出にくいようには設計しています。
単純に精度の問題から螺旋屋として培ったノウハウはそういうものだと思ったいます。
グリップロックナットを生み出した時にそういった懸念は多少はあり、ある程度は仕方がないとは思っていたのですが、そういった考えが定着してしまうとそれこそ事故につながると感じるようになりました。
製造メーカーとしての逃げと取られても仕方はないとは思うのですが、『工業製品に絶対はない』というのは間違いない事だと認識しています。そしてメーカーとして必要な事は『絶対に限りなく近づく努力をする』という事だと考えています。
少しでも安心を上げるための補助として。
グリップロックナットをご愛顧いただければ幸いです。