β鍛造を考える(最終回)
これでα-β合金とβ合金の使用事例などを分かっていただけたのでは?
と思いますが・・・・・・・。
今日は「β鍛造を考える(最終回)」
もっと、深いところに行きますので、ココまでのところで分からない人は最後の数行だけでも読んでくださいね。
さて、本題です。
αーβの組織の合金を加熱するとβ組織になります。
β組織に変わる温度を変態温度とか変態点といい、900℃近辺がその温度と呼ばれています。
α-β合金の鍛造は、この温度帯で行われています。
しかし、純チタン・β合金はココまでの温度に上げなくても、冷間もしくは温間と呼ばれる比較的低い温度で鍛造が可能です。
これは100gの材料から100gの製品ができる事がベストで、歩留まり(製品に対する材料比率)をよくする為に純チタン・β合金には鍛造という工法が取られいます。
しかし、64Ti(ロクヨンチタン)においては、純チタン・β合金と同様の工法が取れません。
まずは下の表をご覧下さい。
α-β合金とβ合金の性質です。
ボルト製造業者ですので、ボルトに当てはめると良く分かりますが、最強を求めるならば両者の利点を取り入れた材料がが必要になります。
現在のところ、β合金で両方の欠点を補った材料を見た事がありません。市場での流通量が非常に少ないα-β合金のSP700ぐらいでしょうか?(見た事も触った事もありませんが・・)
だから、航空機エンジン部品に64Ti(β鍛造)
深海6500の隔壁板に64Ti-ELI(β鍛造)なのです。
絶対妥協できない部品ですから・・・・。
最後に
α-β合金をβ鍛造する事によって破壊靭性・亀裂伝播速度・耐クリープ性を向上させる事が出来ます。これは理想の超高強度チタン合金になります。
私たちは上記と同じβ鍛造と呼ばれる工法で、鍛造を打ち、切削加工後、転造によってボルトを製造しています。
今年、ヨシムラジャパン様は私たちにプレゼントをくださいました。
それは8時間耐久レース優勝車両に、私たちの作ったボルトが装着されていた事です。
8時間耐久レースでトラブルは一切無く、優勝した証。
ありがとうございました。