中空加工
こんばんは。製造のショウジです。
今週は中空加工の依頼が結構多かったですね。
でも、中空加工の依頼と言っても色んな穴径、長さがあります。
そこは、その人が求める目的によって変わってきますね。
例えば、振動吸収性を高めるのが目的であったり、軽量化を求めたり。
中にはボルトヘッドに水が溜まるのが嫌だから、水抜き用での中空加工なんてのもありました。
で、実際どうやって穴を空けているのかというと・・・・・・
ほとんどが手動です。
これには当然理由がありまして、当社のボルトのは64チタンの鍛造材を使用しているからなんです。
ボルトの中空加工を行う時には当然ボルトヘッドからか、あるいはネジ部の底のいずれかから穴を空けていきます。
普通のボルトならスッと貫通するところなんですが、
64チタンの鍛造材のボルトヘッドの六角穴は鍛造で形成されているために非常に硬いです。
(これが六角レンチを掛けた時に六角穴がなめにくい理由)
そのため、ドリルの刃が非常にたちにくいです。
ボルトヘッド側から空けようとすると六角穴の底に穴を空けるだけでドリルの刃がボロボロになります。
結果的にネジ部の底から穴を空けていくことになるんですが、
ドリルが貫通する瞬間に(六角穴に貫通する瞬間)刃先が噛みこんで持っていかれてしまい、
結果ドリルが折れてしまったりするんです。
なので、どうしてもそこは手の感覚が重要になってくるんですね。
さらに、上手く貫通したとしてもドリルの刃先は一番切れる部分がヘタってしまいその度にドリルを研ぐことになります。
それは、太くても細くても研ぎます。
(1.5ミリのドリル)
そしてもう一つ硬くて中空しにくい箇所があります。
それは、ネジ部。
鍛造材の六角穴を空けるのに比べて比較的ましとはいえ、ここも空けにくいです。
理由は転造ネジだからです。切削ネジならなんともないんですが、転造してあると転造ネジ部の組織が微細化し、
密度が集中し、他の部分に比べ中空しにくくなります。(ネジが太くなるほど空けにくいです。)
で、すべてを貫通すると・・・・・中空ボルトの完成です。
たかが中空。されど中空。
以上、製造のショウジでした。