2012年2月8日
ネジの加工
今日はネジの作り方についてです。
ネジの製造で手軽に行えるのが切削ネジと呼ばれていて、NC旋盤を用いて刃物で削っていきます。
そのプログラムの組み方にも3種類ほどあります。
片刃と言われるのもで片方の刃だけで角度をつけて削り込んでいくもの。
また、千鳥と呼ばれていて交互の側面を削っていくもの。また、まっすぐ切り込んでいくものがあって、ネジの形状やピッチやリード角によって使い分けます。
ここのところは人それぞれの好みや経験もあって、これが最適というものはありませんし、あえて無理にこれでということも言いませんが、難しいネジの依頼があった場合にはある程度の条件だけは伝えておきます。
その他、切削ネジにはNCだけでなく様々な加工方法があり、選択肢が多い加工方法です。
次に転造と呼ばれる加工方法で大きく4種類ほどの転造機があります。
大量生産向けには、平ダイスと呼ばれているもので、一気に数本を並べて一気に転造加工をします。
ほとんどがオートメーション化されていて、自動で行うようになっています。
その他、3ダイスと呼ばれていて3つの丸ダイスで転造加工を行い主にパイプの転造に使われます。
最近では転造のNC機が出てきており、一つの丸いダイスの表面に、3つの違うピッチのダイスを取り付けNC制御で3か所違うネジを転造する事が出来ます。しかし、多品種・少量ともなると段取りに手間取ることとなりますし、いろんなコストの事を考えるとなかなか導入しにくい機械でもあります。多分、供給機をつけて量産向きなんでしょうね。
最後に弊社にある転造盤です。
二つの丸ダイスの間にネジ下径に加工されたものを手で入れて、フットスイッチを踏んで回転させながらネジをもみあげていきます。
ほんと、手作業です。
この機械のメリットは、M3×0.5~M24×3.0まで転造加工が可能ということ。また、段取り変えが他の機械に比べ楽に出来ることから、多品種・小ロットに向いていますし、供給機を取り付けることによって量産機にも変身します。
しかし、何よりも大きな転造のメリットは・・・・・・・・・
ネジ下径の公差範囲内であれば研磨された転造ダイスの形を転写するだけですので、非常にネジの品質が安定しています。
↓ は、初めての動画となっています。
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2012年2月6日
ボルトにグリスというと・・・
『ボルトにグリスを塗ると締め付けトルクが締まりすぎて破損の原因に』
って、
よく聞きますが。
螺旋のスプリングバックと軸力を安定させるためには必要だと考えてます。
ボルトナットというものは軸力とスプリングバックでとまっているもの。だというのが大前提であり。
締め付けトルクというのはスプリングバックを生む為に必要な力だと考えています。
ボルトの軸と螺旋山が伸びて戻ろうとする力で螺旋は締結されているのです。
んでもって、例えばなにも塗らない状態でボルトとナットを締めこむと螺旋山の摩擦で締め付けトルクが喰われてしまい、トルクレンチ等でトルク管理しながら締めても、軸力が正しく発生する前に(螺旋と軸が伸びる前に)締め付けトルクに達してしまうことがあります。この状態だとキチンと螺旋が引っ張られていないので簡単に振動で緩むのですね。
なのである程度の摩擦は減らしてあげることが必要なんだと考えています。
で、
うちのボルトに関してですが。
グリス塗ってもそんなに締め付けた感覚は変わらないです。
だって、螺旋山がキレイでもともと摩擦係数少ない
&
転造によって造られた螺旋山は表面高度も高いのですもの。
転造と切削の話でも書いてますが、転造螺旋自体が塑性変形の為滑らかになっていますし、ベータチタニウムで造る螺旋の転造下(転造するまえの旋盤加工した状態)も非常に滑らかな仕上がりにしてあります。これは摩擦という第三者に軸力が”邪魔”されないようにそうしています。
じゃあ結局メーカーの指定の締め付けトルクっていうのはグリスを塗ったものなのか塗ってないものなのかどっちなんだと言われれば、それはケースバイケースですとしか言えず。それは締め付けトルクの検証をどういったケースでしているのかというバックボーンが判明しない限り難しいですね。
なのでベータチタニウムの製品をオートバイとか車用部品として使って頂く際もケースバイケースだと考えております。
けど、それじゃいくらで締めればいいかわからんじゃないかと言われるので下記参照。
基本的には規定締め付けトルクの1.05~1.10倍。
5%以上、10%未満増しでとご説明させて頂いています。
これはTAB6400のボルトが引張強度が980MPaと高く、通常の金属よりは少しですが多めに締め付けトルクをかけてあげたほうがスプリングバックが安定するという経験則から来ているものです。しかしながら最終的には場所や使用用途によってある程度の変化はするのも事実なのです。
安易に締め付けトルクを固定してしまうとそれは脱落等の事故の原因にもなります。
いままでいくつかのボルト脱落や緩みの事故症例を検分してきましたが、脱落については締め付けトルクの低さが原因になっていることが多かったです。ほとんどが締め付けトルクの低さで、その背景には摩擦により規定締め付けトルクが掛かっていなかった、純チタンや材料不明のチタンボルトの印象からチタンのボルトは緩めにというおかしな常識が出来上がってしまっている、ということでした。
正直相手方がマグネシウム系だったり強度の低いアルミ系合金だったりすると相手方の螺旋山が飛ぶことも考えられるので一概には言えないんですけどね。なのでベータチタニウムでは規定締め付けボルトというものを各ボルトに対しては設定しておりません。
もし、これからベータチタニウムのボルトをご購入してみようかと考えられている方は、使うのに不安がある箇所や締め付けトルクをどのくらい設定したらいいのか等、ベータチタニウムに直接お問い合わせくださいませ。
基本的には絶対の数値をお出しすることはありませんが、ボルト製造メーカーとしてお答えに近い内容をご提案させて頂きます。
そして、場合によってはTAB6400のベータチタニウム製品の使用を断念するということもあります。
製品を売るのはもちろんメーカーとして大切ですが、使用用途に適さないのであれば、他の金属をご提案することも当然ボルトメーカーとしてはしなければいけないところだと考えております。
ボルトナットは相手方がいてナンボのもんですから。
一番怖いのはその環境を考えずに締めることだと考えています。
例えばリンクやサスペンション取り付けボルト。締め付けトルクを増してしまうと締め付けが抵抗になりサスペンションの動き自体が渋くなってしまうなんて本末転倒ですよね。こういうところには締め付けトルクは逆にある程度少ないほうがいいこともあるんですよ。
で、
締め付けトルクが少ないと脱落の恐れがあるじゃないかといわれるので出したのがグリップロックなんですな。
色んなところに色んな使われ方をする螺旋。
答えは一つじゃないにしても正解に近いモノを探すのも螺旋屋の仕事だと考えてます。
基本的にはうちのボルトはスプリングバックの効いた感覚っていうのがそれなりにまともな工具を使うと”手に帰ってくる”のでそれはそれで使った方のお楽しみでもありますよ♪
ちょっと話がズレてるという感じもしなくはないですが、そんな日記。
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2012年2月4日
そろそろ用意せんとなぁと思うもの。
そろそろ用意せんとなぁと思うもの。
それは『塗り物』
単純にカジリ防止やら焼き付き防止やらと呼ばれるものです。
チタン=カジリやすい。ってよく言われるし、間違えても無いのですが、ベータチタニウムの製品がカジリやすいかどうかといわれれば一般的に普及しているもの、鉄やアルミ系統のボルトと比べるとNo!といえる自信をもって作ってますので(なんでかは転造にも書いてあります)必要あるかと言われれば必要無いとも言えず・・・
さらにいくら不動態皮膜であるTiの酸化皮膜を厚くしたとして電蝕だけは絶対に起こってしまうのでそれに対してのアンチテーゼは必要なんだろうなと。
しかしながらそれを書くと『それが無いとカジるんだ!』と言われるのも癪でなかなかどうしたものかと思っていたのですが、結構ご質問頂く事も多いのでこれを塗っておきゃ大体オッケー!って言えるもんをご用意しようかと考えるようになりました。
カジリ焼き付きに関しては電蝕防止が一番です。基本的には焼き付き=電蝕だと思って頂いても大丈夫かと。
イオン化傾向の差から考えればアルミは鉄やステンレス相手ではイオン化傾向が大きく、水分が入るとアルミは陽イオン化し接触する鉄などに酸素を引っ張って行き、電解腐蝕が起きやすいのです。
で、実はチタンもアルミと近くイオン化傾向の数値は似ています、しかしチタン自体の場合チタンの酸化皮膜は塩素や酸化に対して他の金属より強く、さらに転造処理において造られた螺旋山は酸化皮膜が厚く、不動態皮膜の性質が高いため腐蝕はしにくいのです(この辺がベータのボルトのカジリにくさです)。しかしイオン化傾向の差というものは異種金属を接地させる以上必ず起こる問題なのです。
これを解決するには単純に異種金属同士を接着させないということになるのですが、螺旋という特性上それは正直難しいのですよ。なのでそれを解決使用とした場合、単純に接触させないようにするのではなく、金や銀や銅などのイオン化傾向の少ない金属を腐蝕媒体として使用することによって解決することが出来ます。
単純に言ってしまうとよりイオン化傾向の小さいものを間に挟むことによってそっちに逃がすという考えになるんですかね?正直この辺は化け学の世界に深く突っ込む内容なので、正直まだまだ勉強中と逃げを残さずにはいられませんが・・・
なので本来ならば色々と使う箇所によって分けるのが正解なのですが、あくまで螺旋屋が用意するのであれば螺旋山と相手の螺旋穴を守るものをご用意するのがいいのかなと考えております。
自社の螺旋山は信じてますが、螺旋はとめる相手がいてナンボなんでこの辺も考えなきゃならんということですな。
基本的には耐蝕系のグリースで問題ないのですがね。
うちが用意するならうちの製品に適したある一定以上の汎用性のあるものがよいのかなと考えております。
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2012年2月3日
色々言われとります。
こんばんは。製造のショウジです。
節分の日ですね。
家に入るなり鬼の格好をしたら娘に思いっきり泣かれ、豆を投げつけられました。
鬼は~外のセリフもなく・・・・・orz
それはさておき、今日はとんでもなく寒かったです。
いや、全国見渡せばもっと寒いところはもっとありますが、そこは主観的に。
なんせ会社の前の川が凍ってましたから。
で、そうなると私の通勤中の防寒対策もグレードアップするわけです。
まずは、ハンドルカバー。
これがあるのとないのとではグローブの厚みが違ってきます。
冬用グローブでなくても全然大丈夫。
しかしこの程度ではまだ満足できません。
そしてついに手をだしてしまったアイテムがこれ・・・・・・
前掛け。
通称さかなやさん。
事務の人には・・・「給食のおばちゃん」と言われました。
見てくれはそうかもしれない。しかし甘く見てはいけない。
確かに立ってしまえばそのように見えるかもしれないが、ひと度スクーターに跨り
アクセルを開けると、足を包み込んであったかいのである。
それはもう信号待ちで足を出したくなくなるぐらいに・・・
そして転けそうになりました・・・・・
でもこれで今年の冬はバッチリです。
以上、製造のショウジでした。
PS.さあ、もっかい鬼やるぞ~。
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2012年2月2日
64合金について
先日、日本チタン協会の西日本支部の新年会に出席してきました。
東北大学の教授の基調講演があったりと非常に参考になるお話が聞けましたし、やはり、その後の飲み会で様々なチタンに関する濃い話が聞けました。
日本チタン協会の新年会ですので、どこのテーブルでもチタンの話ばかりです。
その中で製鋼メーカー系の研究機関の方と話をする機会がありました。
製鋼メーカー側としても安い海外製品が国内の市場に出回り、「チタンはダメだ!」との認識が広まることを警戒されており、どこの国の製品であるかはあえて書きませんが、海外製品が国産品TAB6400に比べ、引張強度・耐久性で劣る理由を聞くことが出来ました。
一言でいうと「国産品に比べて化合物が多く含まれる。」ということだそうです。
詳しく説明すると、化合物とはTiO2などチタンの化合物、アルミの化合物、バナジウムの化合物、その他化合物からなり、結晶粒の間に存在しています。
その化合物は結晶粒の結合を弱くする性質があり、そこを起点に破断が起きるということになります。
これらは成分成績表(ミルシート)を一切分かりませんし、簡易測定機を用いても明らかにはなりません。
こうした海外製品の64チタンは、簡易測定機ではバナジウムやアルミは規定値にありますし、明らかに64チタンなのですが、JIS規格のTAB6400では無いということになります。
正確な分析は製鋼メーカー系列の検査機関に依頼する以外方法がありません。
常に安い製品ほど多く広まりますし、その製品の評価も多くなります。
また、高い製品ほど少量しか広まりませんし、その評価も少なくなります。
製品の評価は多数が勝り、少数は埋もれてしまう事を、理解は出来ているんですが、飲みながら二人とも納得できないでいました。
どこの飲み会でも一緒ですが、愚痴が付き物です。(笑
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