2008年1月17日
Ti-6Al-4V鍛造 ボルトに対する優位性
ベータチタニウムの製品の主幹製品はボルトです。
基本的にTi-6Al-4Vを使用し螺旋部を転造で仕上げています。
そしてもう一つ重要なポイントが鍛造材を使用しているという事なのですが、今日はこの鍛造について詳しく書いてみたいと思います。
まず基本的に通常Ti-6Al-4Vと呼ばれる金属は全て鍛造されている状態で出荷されてきます。
基本丸材しか存在しないのですがそれは他の金属のように溶かしたり伸ばしたりという事が出来ない為に金属の精製炉からあがってきた”だいたい丸材”を鍛造、つまり叩いて鍛えながら丸材の形にします。
ですのでTi-6Al-4Vというものが世にでている時点で基本的には全て鍛造なのですね。
さてさてここからが本題、
じゃあなぜわざわざベータチタニウムではTi-6Al-4V鍛造だと言う事をアピールしているのかというとそれには理由があります。
チタン合金の種類には大まかな分類
α相
α‐β相
β相
の三種類がありベータチタニウム製品の全ては基本的にα-βチタンに分類されるというのは以前に書かせていただきました。
ここでα-β相とβ相の違いついて科学的に説明するとα-β相は最密六方格子の低温安定相でβ相とは体心立方格子の高温安定相…
って金属材料系の専門しかわからない違いがあります。
これをネジ屋であるベータチタニウムが実際に作業し製品を作成して様々な試験にかけた結果で簡単に説明すると
α-β相は、ずれやすく
β相は、ずれにくい
というイメージを持っていただければよいと思います。
金属の面白いところで
硬さ、強さ、強度、剛性、という言葉は似ているのですが全て違う特性を指すものなのです。
高強度や高剛性という言葉だけで金属の強さというのは中々顕せないものなのです。
ちょっと話がそれてしまいましたが金属の強さというところの話は後日改めて書いてみたいと思いますのでここから本題の鍛造について話を戻してみます。
上記で書いたのですがα-β(Ti-6Al-4V)はβ相に比べてずれやすい
つまり伸び縮みに対して優れているのです
(相がずれにくいと伸びずに破断します)
ですので例えばボルト(ねじ山)に必要な締め付けトルクに対してのスプリングバックがかかりやすく締め付けたときに安定して締結する事が出来ます。
それに対してβ相は確かに剛性は高いのですが伸びが少なくボルトにした際に相手側にばかりスプリングバックをもとめてします傾向にあります。
ボルト、更にここではピックアップしてみるとねじ山としてはα-β相のTi-6Al-4Vが優れている箇所が多いのです。
ですがβ相というのは伸びがなく非常にずれにくい、つまり存在がずれにくいでねじ山意外では非常に良い特性を持つ金属なのです。
そこでベータチタニウムのTi-6Al-4V鍛造ボルトなのです。
ベータチタニウムのボルトはあらかじめ鍛造されて出荷されてきた丸材をカットして頭の部分(六角穴とその周囲)をさらに熱間鍛造をしています。
α-β相であるTi-6Al-4Vをβ相の高温安定相まで引き上げてβ相を持たせます。
一度β相まで上がった組織というものは常温になってもβ鍛造と呼ばれる状態になるのです。
通常のTi-6Al-4Vを更に熱間鍛造することによりα-β相の胴部にβ相の頭部をもつ複合特性のTi-6Al-4Vを作り出すことが出来これにより螺旋部から胴部にかけては適度なスプリングバックを残し、ボルトの首裏から頭部は高剛性高強度のボルトを作り出すことが可能になるのです。
よくチタンのボルトは緩みやすいというご意見をいただくのですがそれはずれやすいα-β相のみで構成されている為、頭部も伸びですれてしまい力が抜けたときに一緒に動いてしまうからなのです。
ボルトという決められた形状の中でTi-6Al-4Vの特性をフルに生かす為には?
たった一本のボルトですが実はこんな事を考えて作っています。
今回書いたのはあくまでも鍛造という手法にスポットライトをあてたのですがまだまだ教科書には載っていないネジ屋の技術というものが沢山あります。
流石に加工に関するノウハウは表に出せないものが多いのですがこういったものの積み重ねでベータチタニウムはボルトを作っています。
たかがネジ
されどネジ
これからも常に新しい技術を入れながらベータチタニウムの製品は進化させて行きたいと思います。
カテゴリー:螺旋屋徒然ブログ
2008年1月9日
Buell XB用アクスルシャフトのインプレッション
昨年末辺りから様々な雑誌でご紹介いただいているおかげでお問合せが非常に増えてまいりました。
お問い合わせ内容で多いのが
『実際に換装すると、変わるんですか?』という内容です。
通常ならば経験豊富なプロのライダーの方々や雑誌でインプレッションを書かれるライターの方々にご感想いただくところなのですが、それはまだ今から発売されていく雑誌の紙面でお伝えしようと思います。
というわけでベータチタニウム技術開発として幸運にも色々な車種をテストしてきたのであくまでマツヤマの主観ですがインプレッションを書いてみたいと思います。
が、最初にお断りしておきますがコレはあくまでも一般ツーリングライダーのマツヤマが自分自身で乗ってみて感じた事を書いていくものであって、製品の性能を実際に感じていただけるかを保証するものではございませんのであしからず。
さてさてそれではまずはBuell XB用アクスルシャフトからいってみたいと思います。
京都のBuell専門店Buell Leoさんと共同開発したこのアクスルシャフトです。
現行のBuellといえば、通常のビックバイクよりも極端に短いホイールベースと極端に立ったキャスター角のディメンションを高剛性のフレームで受け止める事によって生み出される軽やかな走りが魅力のオートバイですが、国産のビックバイクに比べてその分若干安定性に欠けるものがありました。
そんなBuellにTi-6Al-4Vアクスルシャフトを装着するとまず感じたのがサスペンションの収束のスムーズさでした。
例えば直線であろうがコーナー中であろうがちょっとしたギャップの上を通った時に超えた感覚はあるが不快感が全く無かったんです。
もうちょっと深く書くと、例えば峠道を走行中に下りのコーナーに減速帯があるじゃないですか?
あの上を越えたときに今までならば路面から『ゴツッ、ゴツッ』と突き上げられるような感覚が来ていたのに、Ti-6Al-4Vアクスルシャフトに換装すると減速帯の上で『ストン、ストン』とサスペンションの伸び縮みがキチンと感覚が把握出来るようになったんですよ。
今までが減速帯の上で跳ねていたタイヤが減速帯の上をなめるように走っていくのです。
もちろんそれは車体が真っ直ぐの時でもバンク中の状態でもです。
これは剛性が上がった事により路面から力が掛かってもサスペンションに伝わる前にキチンと力が整流化されて今まであった捩れや微振動をしっかりと押さえ込めるからだと推測します。
これは高速道路やサーキットのようなスピードレンジの高い箇所の方が顕著に現れます。
また長時間の連続走行では明らかに疲労度が低くなりました。
そしてその剛性は強いブレーキングでも威力を発揮します。
減速帯の走行が路面側からの力の入力だとすればブレーキングは車体側からの入力になるのですが力の最終到達点であるアクスルシャフトの剛性が上がる事によりしっかりと安定したブレーキングが可能となりました。
それはブレーキングから車体をバンクさせる動作でより顕著に現れます。
一連の動作がそのままスムーズに移行していくのです。
そしてバネ下で200g以上軽量化させた恩恵で異様に足回りが軽くなります。
これは軽くした上で剛性を上げた為により顕著にその軽さが実感出来ました。
っとホントに良いことだらけの事しか書いていないのですが、実際に乗っていただければご理解いただけると確信できる効果だと思います。
このBuell用アクスルシャフトはBuell Leoさんの試乗車に実際に装着されていますので購入をお悩みの際は是非京都のBuell Leoさんで比較してみてください。
純正との乗り比べもできますので。
国産のオーナーさんも是非試して参考にしてみてください。
カテゴリー:螺旋屋徒然ブログ
2008年1月5日
TISC
今までが二輪や四輪に特化したボルトばかりだったので、本日からベータチタニウム基本製品(カタログ製品)のご紹介もして行きたいと思います。
カタログ製品ご紹介第一弾はコチラ
TISCです
読み方は『てぃーあいえすしー』と読みます。
英字の意味合いはTI=チタン(ベータチタニウムではチタン=Ti-6Al-4V)SC=ストレートキャップ
つまりTi-6Al-4Vの真っ直ぐな頭のボルトという意味です。
一般では六角穴付ボルト等とも呼ばれています。
材質はもちろん鍛造材です。
最もシンプルな形状のこのボルトの良い所はJIS規格よりも小回りの効く寸法にししてありますので使う場所を選ばないところですね。
カテゴリー:製品紹介
2008年1月4日
2007年12月28日
2007年 年末のご挨拶
2007年もあと残すところ僅かとなりました。
弊社も本日、無事年内最終営業日を迎える事が出来ました。
これも、一重に皆様のおかげと社員一同感謝しております。
大変ありがとうございました。
開発の仕事に関しては正直な話、個人的に未熟で対応しきれない事案がまだ多少残り、関係者各位やお客様にご迷惑をおかけした部分もあったと思います。
来年は今よりも技術開発としての自分と営業的な業務をするという自分のスタンスを改めて確立して現場での発想力や、事案に対する提案事項の柔軟性を増やして的確かつレスポンスの良い製品企画を出来るように精進して行きたいと思います。
ベータチタニウムとしましては、皆様のご協力もあり、各分野において良い評価をいただいております。
2007年全体では様々な分野で着々とベータチタニウムの製品が浸透してきましたので、2008年はベータチタニウムの飛躍の年にしたいと考えております。
2008年もベータチタニウムを宜しくお願いいたします。
そして『ベータチタニウム開発日記』を御覧になっている皆様へ
今年は後半に結構更新頻度が下がってしまい申し訳ありませんでした。
来年以降も以前のような毎日更新は出来ないかもしれませんが少しでも皆様に面白いと思っていただける文章を書いて行きたいと思いますので宜しくお願いいたします。
最後に、2008年が皆様にとって素晴らしい年になる事をベータチタニウム社員一同心よりお祈り申し上げます。
カテゴリー:螺旋屋徒然ブログ
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